ドラムで動きやすい腕は体幹からー肩の造り
思うように音を出しにくい、手を動かせないと「力が足らない」と思いがちです。
筋トレして筋力がついたら、本当に音を出しやすくなるでしょうか?
こんにちは。音楽家のフィジカルセラピスト、新堂浩子です。
演奏では、次の音に向かって手が動き続けます。
動きにくい時、音を出す動きを邪魔しているのは何?
ドラムで叩きやすくなるために、肩の造りについて見てみましょう。
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動いているのはどこ?
私たちは、筋肉や骨を使って動きます。
いくつかの筋肉で並んでいる骨を寄せたり離したりして、動きが生じます。
動きが起きているのは関節です。
スティックなど道具は、四肢の末端で操作します。
なので、体から手の先まで、全ての関節が屈伸しやすいことが大事です。
ドラムで動きやすい腕
体がかたくないこと
自分を支えて柔軟に動ける体幹。
これがないと猫背になって、背もたれが大好きになってしまいます。
猫背だと、背中が引き伸ばされて、肩甲骨と上腕が動きにくいです。
姿勢が良くてもかたい人は、胸や肩甲骨に付く筋肉が動きにくく、体幹から腕が動きにくいです。
肩が大きな角度に曲がる柔軟さではなく、体幹そのものがかたくなく胸や背中の筋が伸び縮みしやすいと、腕が体幹から動きやすくなります。
じっとしていると筋肉はかたくなり、年齢がかさむことでも体は自らの重みでかたくなります。
体幹が柔軟でないと、腰痛や肩コリを起こしやすいです。
つけ根が動きやすいことが大事
腕は付け根で大まかな動き、手先で細やかな動きをします。
手を動かす時、腕の付け根から動いているように思いますが、腕を前に出すだけでも肩甲骨は動きます。
体幹がかたい、肩甲骨周りの筋肉が伸び縮みしにくいと、腕の動きに余計な力を使います。
大事なことは、肩での可動範囲より体幹がいろんな方向に動けるように伸び縮みしやすい、かたくないことです。
上体が動きやすいことで動きが連なって、先端にスピードが出たり、腕力を入れないで手を使いやすく、疲労しにくくなります。
ベテランドラマーのための腕のウォーミングアップ(なぜか長らく非公開になってた)
(ついでに脚も)ドラムで疲れない足のためのウォーミングアップ
肩の造り
体幹の中で胸郭の上の左右の部分、鎖骨・肩甲骨・上腕骨が接するところを「肩」と呼んでいます。
鎖骨は胸の中央の胸骨に付いていて(胸鎖関節)、手のひらで触ると外側が動くのがわかります。
背中に肩甲骨があります。鎖骨と肩甲骨は引っ付いて動きません。肩甲骨は背中で浮いている状態です。
肩甲骨の外側の凹みに上腕骨が付いて、体で一番よく動く関節です(肩甲上腕関節)。
↓胸の真ん中に胸骨があって、左右に鎖骨が付きます
↓右の肩を前から見た図
上腕骨は肩甲骨に付きます
鎖骨と肩甲骨は引っ付いて動きません
すいません。謝って削除してしまいました…
手が力まないこと
スティックなど道具を手でしっかり持つと、動きが遅くなります。
重いものを持つときのように手に力が入ると、腕や肩まで力み関節が屈伸しづらくなってしまいます。
指、手首、肘、肩、脊椎、全部の関節が動きやすい状況にあることが大事です。
手に力を入れると腕の筋肉や肩までかたくなるので、腕が疲れやすく肩こりやすくなります。
私たちは力みやかたさを自覚しません。
動きにくいとさらに手が力みがちで、楽器からの反力が大きく、かつ、吸収しづらくなります。
続けることで、腱鞘炎や肘の痛み、故障に繋がります。
筋トレで動きやすくなる?
イチロー選手の場合
私たちは、学校の体育やスポーツ産業の影響で、力や角度が大きいことがいい、動きは筋力だと言う思い込みがあります。
力が入ることは筋肉がかたく縮むこと、重いウェイト動かせるのは大胸筋や腕の筋肉がかたくなることです。
大胸筋や腕の筋肉がかたくなるので筋トレを禁止しているのが、イチロー選手のトレーナーの小山裕史さんです。
演奏で筋肉に命令を出すのは神経系で、聴覚や筋肉や関節の運動感覚、手の皮膚感覚で動きをコントロールします。
かたさや力みは自覚しないので、滑らかな動きを邪魔して思うように音を出しにくくなります。
まとめ
かたくない上体から腕が動きやすく、手の負担が減る(体側から)
手元が力まないことで、腕の筋肉が伸び縮みしやすい(手側から)
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |