演奏家の腰痛、ギックリ背中で知っておきたい、インナーマッスルと呼吸
こんにちは。
ミュージシャンボディトレーナーの新堂浩子です。
「腰が痛くて、声が出せない、息を吸うのも痛いくらい背中が痛い…」
「バイオリン弾いてると、背中が痛くなって弾けない…」
「ギックリ腰以来、コルセットなしでは演奏できない」
座って演奏しているうちに腰が痛くなったり、ギックリ腰で立つことすらできなかったり、ギックリ背中で管楽器の方が吹きにくくなります。
寒いと腰痛になる人も増えますね。熱を逃がさないよう筋肉がかたくなるせいです。
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クシャミでギックリ腰になるワケ
クシャミをして、ギックリ腰になることがあります。
強い呼気で、背中の筋肉がかたいと骨の支えのないベルトあたりの筋肉に、瞬発的に強い力が加わって痛めてしまいます。
英語でギックリ腰を表す言葉、「魔女の一撃」とはよく言ったもんですね。
腰の筋肉の痛みがひどいと、立つことすらできなくなります。
腰は、動きの要なんですね。
腰が痛い筋肉は、主に体の表面、外側の筋肉です。
体の奥の筋肉の働き
重いものを持つとき、息を止めて自分の中をかたくして自分が倒れないよう、体を支える働きがあります。
体の外側にある筋肉とは別に、体の奥にある深層筋、インナーマッスルです。
インナーマッスルは自分ではわからないですが、強く息を吐いたり、自分を支える働きをしています。
インナーマッスルとは
横隔膜;腹と胸の境、呼吸で動きます。しゃっくりした時感じるくらいで自分で動かせません。
骨盤底筋;股間、尿道や直腸が通る
腹横筋;お腹の一番内側、腹直筋や腹斜筋より内にある
多裂筋;背骨同士に付く筋肉
大腰筋、腸骨筋;背骨、骨盤と足の骨を結ぶ深層筋
腹横筋↓
インナーマッスルの働き
普段息をする時、横隔膜が上下することで、肺が小さくなったり大きくなったりして空気が出入りします。
歌や管楽器で息を出すときは、骨盤底筋や腹横筋が張って内圧が上がって横隔膜を押し上げます。
上4つの太字(横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋)で囲まれる部分を「コア」といいます。
このコアの働きが優れていると、バランスをよくとれたり体の動きをよくするので、体操やフィギュア、果てはシルク・ド・ソレイユのような離れ業ができます。
コアで自分を支えていることで、外側の筋肉を使いやすい、体が安定して、腕を動きやすくします。
インナーマッスルによるコアは、言わば自然のコルセットなんですね。
でも、音楽家の方がインナーマッスルを、特に鍛える必要はありません。
歌や演奏する人の腰痛
音楽家が腰痛、背中痛になりやすいワケ
音楽やらない人でも、背中がかたいことや姿勢が良くないことで、腰痛になります。
歌や演奏する人は、長時間同じ姿勢を保ったり楽器の負担など、体がかたくなりやすいです。
また猫背や腰が丸い姿勢、ViやFlでの首や肩の傾き、G,Bで指板へ向いたり足を組むなど傾いた姿勢も、背中に悪く影響します。
背中の筋肉は大きく、広背筋や背骨に付く長い脊柱起立筋など、呼吸や腕の動きやすさに影響します。
吹奏の方は、楽器の負担や構え、寒さなどで背中がかたくなります。
呼気で力みも背中がかたくなりやすいので、歌や管の方が腰痛やギックリ背中になります。
広背筋↓ 腰椎から上腕の骨に着く
運動しているのに腰が痛い
自分を支える深層の筋肉の働きが弱いのに、誤った筋トレでアウターマッスルばかり強くすると、本当に腰椎を潰してしまいます。
(ヘルニア、お尻や足にビリッと痺れが走る)
腹筋をし過ぎても、腰を丸くしてしまい猫背を助長してしまいます。(腹筋運動は前屈運動)
インナー筋の多裂筋が働く↓ アウター筋が強いと背骨を崩す↑
ストレッチをよくする人で可動域が大きい柔軟さも、自分を支える力が弱ければ、姿勢のアンバランスで腰痛を起こすことがあります。
パンプスや硬い靴、柔らかすぎる靴やO脚X脚なども、下半身が適切に体重をコントロールして動かないので、バランスの悪さが腰に負担となります。
音楽家の腰痛、背中痛対策
体幹が柔軟なことや、いい姿勢で腰痛、背中痛は改善できます。
柔軟というのは、大きな角度曲がることではなくて、骨盤や背中に着く筋肉が適切に伸び縮みできることです。
骨盤周りの筋肉がかたくなく伸び縮みできることで重い上体を支えてバランスをとりやすく、息しやすく腕が動きやすいです。
いい姿勢で動くこと、しっかり息を出すことで、インナーマッスルは働きます。
背中を保温したり体幹をほぐすような動き(側屈したり前後へ屈伸、振り向く)で、かたさを減らしましょう。