ソウルフルな身体から見えた音楽の背景
何も知らないで、”ソウルフルだ”なんて、言ってました。
ちょっとハスキーで声量があったら、ソウルフルだと思っていました。
歌は、彼らの心の叫びなのだと、わかりました。
2018年他界したクイーン・オブ・ソウルこと、アレサ・フランクリンの記録映画『アメイジング・グレイス』、
2021年に公開されて、秋に観ました。
彼女のアルバムを、教会でバンドと聖歌隊、信者たちと一緒にレコーディングして、それを撮影したものです。
なので、歌っているシーンが、えんえんと続きます。
顔に汗したたりながら、歌うアリサ。
歌ってるのはゴスペル。
賛美歌ではなく、黒人霊歌です。
感極まった観客、立ち上がって諸手を挙げたり、体を折り曲げて悶絶したり、目をギュッとつむって首を繰り返し振ったり。身震いする人も。
バンドメンバーは、Gコーネル・デュプリー、Drバーナード・パーディ、Baチャック・レイニー。
それと、ゴスペルの王、ジェームズ・クリーブランド。
「身体が違う」と思いました。
圧倒的な発声、絶対的な音感、大きい口。
グルーブ、大勢で一緒に声を出すこと。
“音楽的な身体”とでも言うのでしょうか。
アフリカン・アメリカンの先祖が狩猟民族で、走り廻って、みんなで音や声を出していた。
(これは私の単なる想像です。正しくはないかも。)
農耕民族が先祖だった私たち。
その場で黙々と動かない。
黒人に生まれ、奴隷として働かされ、差別を受ける。
生きるために、歌うことが必要だった。
歌うことが信仰で、歌詞は神への祈りの言葉。
生まれた時からゴスペルがある。
苦しんで生きる黒人たちが、救いや癒やしを求めて、歌う。
彼らの魂の叫びが、ソウルフルな歌声となっている。
歌うことの意義やフィジカルの差を見せつけられました。
歌には背景がある。
そんなことも知らないで、”ソウルフル”という言葉を使っていました。
『グリーンブック』という、黒人の天才ピアニストの実話を基にした映画を観たときも、
ミュージシャンを始め黒人がひどく差別される、悲しい現実を知りました。
強制的に自由を奪われ、奴隷として働かされてきた過去。
今だに根強くある黒人差別。
黒人というだけで、差別をしてしまう。
他の動物に種類がたくさんあるように、人種には違いがある。
黒人は、音楽的能力が身体的能力とともに高い。
リスペクトに値する。
彼らがゴスペルを始め、音楽をやってきてくれたから、ジャズやウインドがある。
ブルースやR&Bから、ロックも生まれた。
私はブルーノ・マーズが好だし、マイケル・ジャクソンも大好きでした。
黒人達が辛くて救いを求めて歌っていた。
そのおかげで、今、世の中にノリのいい曲があふれて、多くの人が音楽を楽しめてる。
音楽には意味がある。
他の芸術や文化も、生きてきた人々の歴史の中に生まれる。
それに気づかされました。
ロックもクラッシックも、
音楽の生まれてきた背景、歴史的な流れの中で、音楽家たちが奏でた心の叫びなのだと。
《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ、英会話♪ 詳しくは ≫プロフィール |