ダイナミクスのヒント、大きいドラマーの音が大きいわけ
こんにちは。ミュージシャンボディトレーナーの新堂です。
大きい人やぽっちゃり体型のドラマーって、音量ありますよね。
確かに、腕の重みや背の高さは、大きな音を出しやすいです。
一発だけならまだしも、大きな音を出すために力を入れたり振りを大きくしても、限界があります。
曲の中で音量のコントロールができて、痛めずダイナミクス出せるといいですね。
ドラムでダイナミクスを出すコツについて。
音を大きくするには
動きを音にしているのは、スティックやビーターです。
スティックやペダルの条件を一定として単純に言うと、スティックの先やビーターの速度が上がるほど、音は大きくなります。
でも道具のスピードを上げるのに、ただ腕や足の力を入れるだけでは疲労します。
スティックは手というより、腕、体から動きが連動します。
叩くと跳ねて動きのエネルギーを利用できるので、全部手腕を動かす必要はありません。
ペダルはてこになっているので、手前を踏むより奥を踏むと、音は大きくなります。
スピードを上げやすい仕組みが、楽器にも体にもあります。
関節のしなり
投球で手首がしなることで、球の速度が上がります。
ガッツリ握って投げるより、手首がしなると加速します。
例えば、ギターで手首をかためたままストロークするより、手首を柔軟にしてプラプラでストロークすると、楽にジャッ!と速く音が出ます。
手首が柔軟だと、腕が向きを変えると関節の範囲内で、手首がかえり(向きが変わる)ます。
慣性で行こうとするところから、逆方向へ引っ張ると、先端は加速します。
ぽっちゃりドラマーの利点
音が大きい理由
・重さで座り、体が安定して、手足が動きやすい。
・筋肉が収縮しやすい。太い腕や脚の中の柔らかい組織の中で、筋肉が伸び縮みやすい。
・手の平が柔らかく、スティックのクッション的な役割をして、衝撃吸収もしやすい。
力を入れなくても叩きやすくスピードが出ます。
比較的、頭が小さく骨盤が広い女性や、力がない子供も、上の条件を満たします。
ERIC MOORさんの動き解説
後ろから見た動画がわかりやすいので。
お尻の下、座面が安定。
肩甲骨(の周りのお肉)がよく動きますね。
俊敏に腕が動いて腕のスピードが出ます。が腕の動きがあまり大きくなくても、スティックの動きが大きく速い。
体がこっち振り向いたりあっち向いたり、腰から上がよく動きます。
腕が肩から動くというより、腰から動いてる感じです。
ロールじゃなくても指もよく使います。
スネアやタムを見てないとこが、すばらしいです。
腕力より俊敏
100キロのベンチプレス上げる筋力があっても、手の力は腕も肩もかたくします。
力が入るかたい筋肉は、筋肉が素早く収縮せず、関節の柔軟性を無くします。
手も足も末端の力を入れない方が、腕、足全部の筋肉が収縮しやすく、曲げ伸びや方向を変えやすく俊敏でかつコントロールしやすいです。
また、背中や胸のかたさから、腕や足の動きが悪いと、余計な力が入ります。
かたさに気づけずに力むと動きが悪くなって、疲れやすく「筋力が足らない」と思いがちです。
かたい人は、ちょっと背中がほぐれるだけで叩きやすく、スピードを出しやすくなります。
ダイナミクスを力と捉えず、道具のスピードをコントロールできることと捉えます。
ドラムでは、動きながら手や足裏に当たる感覚をフィードバックしながら、反射的に手足を動かして道具を操ります。
腕や足が動きやすい体、座り、動き方、スティックの持ち方や操作が望ましいです。
追記
イチロー選手のトレーナー小山裕史『「奇跡」のトレーニング』より
身体の中心部から生まれた力を腕という末端部に伝えたいと述べましたが、この時、極力、腕の筋肉に力を出させたくないのです。
腕にできる限り力を出させず、中心部から生まれた力を利用できると、腕は鞭のように加速します。
『小山裕史のウォーキング革命』より
末端部、手甲、手指、足甲、足指部は、共に小さな骨の集合体です。
中心部から末端へという運動連鎖は、これら強度的にはかなり脆弱な末端部に、余分なストレスをかけない、発生させない、筋肉や関節には、自由で精緻な動きを求めたい。
ダイナミクス、まとめ
上半身が柔軟で、右や左に向いたり、肩甲骨から腕が動いたり、足が力まず動きやすい体。
動いているスティックやビーターの運動エネルギーを活かして、効率よくスピードアップを。
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |