演奏家の手荒れ対策【ハンドクリーム、指先・指関節の割れ】

秋になると湿度が下がってきて、手もカサついてきますね。

こんにちは。

ステージに上がる音楽家のフィジカルセラピスト、新堂浩子です。

楽器との摩擦、木製のネックやスティックで、手があかぎれたり指先、関節の皮膚が割れたりします。

手の乾燥対策やハンドクリーム選びのコツ、爪や指関節の割れ対策についてまとめました。

手荒れの原因と対策

乾燥から守る

手の表皮は、皮脂腺から分泌される皮脂と汗が混じってできる皮脂膜が覆っているので、皮膚が潤っています。

掌側には汗腺があるので、緊張すると手に汗にぎりますが、手の甲側には、汗腺は少なく皮脂腺も他の部位の皮膚より少ないです。

空気の乾燥によって、皮膚の水分や皮脂腺から出る皮脂が奪われて、潤いが減り手が荒れます。

 

乾燥と寒さゆえ、露出してる手は荒れやすく、対策としては手の保湿と保温です。

紙や洗濯物などの乾燥もきついので、手が荒れる前、手洗い後早めに、クリームなどで手の甲や指先の保護をします。

冬の外出時は手袋、ぬるま湯で手洗い、食器洗いするなど保温も、手荒れを減らします。

洗いすぎない

新型コロナ、インフルエンザなど感染対策に手洗いは大切ですが、ボディソープで洗うと手から皮脂を奪ってしまいます。

シャンプーや食器洗い用洗剤など合成洗剤も、油汚れを落とすので、手が荒れます。

 

純石鹸やマイルドな洗剤を選んで、少量使うようにしてください。

食器洗いのときは家事用グローブをして、手を保護することをおすすめします。

熱いお湯も肌を乾燥させますので、長時間のお風呂や、熱い湯での手洗い、食器洗いは避けます。

タオルで擦らない

手を洗った後は、すぐにタオルなどで水分をきちんと拭き取ります。

濡れたままにしておくと、水分が蒸発、乾燥して手荒れが悪化しやすくなるからです。

拭くときもタオルなどでゴシゴシとこすらず、水分を吸い込ませるようにやさしく拭きます。

 

手の表皮の一番外側にある角質層は、保湿やバリア機能を担います。

皮膚が乾いて角質層がかたくなる(カサカサになる)と、保湿やバリア機能が損なわれ、悪化するとひびやあかぎれになります。

乾いた布やペーパータオルで強くこするのは避けます。

 

タオルもパリパリに乾燥しているものよりも、ふんわりしているもののほうが、皮膚を痛めません。

乾燥機でタオルをふんわり乾かすのもおすすめです。

ハンドクリーム

ハンドクリームは

普通のハンドクリームには、グリセリン、ワセリン、ヒアルロン酸、セラミド、香料など、商品によって違いますがさまざま成分が入ってます。

色々な目的で成分が入っていますので、目的に合わせて使うといいです。

 

手荒れ防止に大切なことは、潤いを逃さないよう表面を保護することです。

ベタベタするものは手の甲側だけ塗ればいいですし、商品によってはベタつかないものもあり、すぐに楽器を弾けるものもあります。

 

ハンドクリームの多くは塗ってもすぐに落ちやすい。つまり、表面の保護効果が長く効きません。

塗ると表面はしっとりしますが、実際に含まれた成分に効果があるものは少ないです。(正直、化粧品と同じでほとんどありません)

おすすめはワセリン

ハンドクリームにおすすめするのは、ワセリンです。

ワセリンは、石油から作られた高純度のもの(純度が高いとは、他に成分を含まないという意味)です。

リップクリームやハンドクリームなどの油分に使われています。

 

ワセリンは、皮膚に油の膜を貼って表皮をカバーし、長時間、手の水分や皮脂を逃しません。

手を水で洗うとき、ワセリンは水をはじくので、保湿効果がハンドクリームよりも高いです。

 

白色ワセリンや、ヴァセリン(ユニリーバ・ジャパン社)↓など、ドラッグストアで買えます。

防腐剤無添加、無着色、無香料。コスパ高く、リップクリームとしても使えます。

ヴァセリンはサイズが色々あり、40gなら持ち歩けます。

尿素入りは使い続けない

ひび、あかぎれ、しもやけ、手湿疹などひどい手荒れに、尿素を配合したハンドクリームを使うと、よい働きをしてくれます。

尿素は、皮膚がガサガサしていれば、角質がゴワゴワした状態で、この角質を溶かします。

ひざやひじ、かかとなど角質が硬くなっているところにも使えます。

 

尿素の働きで、肌が柔らかくなり角質が固まった状態から脱します(ピーリング)。

しかし、そのまま尿素を使い続けると、まだ十分に育っていない表皮に未成熟な角質が増え、角層のバリア機能は低下し、肌の乾燥をもたらします。

尿素入クリームは、ガサガサが改善したら、使い続けるのは避けた方がよいです。

 参照「尿素のメリットとデメリットは?」

爪も保湿

爪は、手の表皮の一番外側にある角質層がかたくなったものです。

なので、手の皮膚と同じで乾燥には弱く、乾燥が続いて2月頃になると、爪も割れやすくなります。

爪が割れる人は、爪と爪周囲にもクリームを塗って保湿してください。

指先指関節の割れ

指先のワレには

皮膚が割れてしまう人は、ヒビケア等のひび・あかぎれ治療薬があります。

指先、親指の角などがひび割れて痛い時は、ロコスキンエキバンなど液体接着剤が効きます。

親指の角など力が入って応力がかかるところは、割れやすく閉じにくいので、液体接着剤で引っ付けます。

指関節のパックリわれ

指関節の皺に沿って、パックリ割れてしまう場合。

クリームで保湿していても割れることがあり、なおりにくいです。

原因は、寒冷や血液循環が悪いなど言われていますが、指の変色や痛みがあることがあります。

 

キズパワーパッドなど貼ったままにできる絆創膏がお薦めです(類似商品でも可)。

傷を覆って体液を保ち、乾かさないことで傷を治します。

指関節に巻きやすい商品も多く、そのまま手洗いでき、お風呂にも入れます。

商品の取扱説明書をきちんと読んで、使ってください。

 

▶音楽家に起こりがちな体の不調


『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』

 

《新堂浩子》

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上していけるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ

詳しくは プロフィール