筋力よりも脱力よりも、演奏しやすくなるために大事なこと
「手がもっと動きやすくなるため、力が入るよう鍛えなくちゃ」
「速く動きにくくなってきた気がする。疲れやすくなってきた」
「脱力する前に筋力つけとけばいい」…
こんにちは。
ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト、新堂浩子です。
いい演奏したいから、より動きやすくなりたい、もっと楽に動かしたいですよね。
動かせるには力、筋力が要ると思いがちです。
動きは筋肉以外によるものの影響が大きいです。
動きにくいと
人は演奏しにくい、パーツをコントロールしにくいと、無意識に力みます。
軽く動かせるパーツが力んでしまうことで、細かい動きや速い動きをしにくくなったり、楽器からの反力が大きくなります。
ますます動きにくくなり「力が足らない」と感じてしまいます。
人は動きにくい時や痛いときだけ、動きや手を意識します。
かたさや力みなど自覚しないので、動きづらかったり筋肉を痛くします。
筋肉だけで動いているのではないですが、動きが悪いと筋力、脱力と考えてしまいます。
「脱力しよう」とよく言われますが、脱力はしようとしてできない、意識してできません。
自分が手に力が入っている感覚を自覚できないからです。
身につける最中は別として、身についた動き、道具の持ち方や打鍵の力が強いものであれば、脱力しようとしてもできません。
動きのコントロール
私たちは、いちいち考えなくても体を動かせます。
身につけた知能と動き方で、神経を通じて筋肉を動かし、聴覚や触覚、筋肉や関節の運動感覚など末端から感覚のフィードバックで動きをコントロールします。
意識しなくても姿勢を保っているし、視覚も使って脳や脊椎が自動にコントロールして、感情も影響します。
手は腕から動かしているようで、体幹から連なって全部の筋肉、関節が協調して動きます。
立ち方や座り方によっても動きやすさは変わりますし、うつむいたり脚を組む癖なども影響します。
意識する以外にも、色んな働きがお互い影響し合って動いています。
特に演奏での動きは、意識しないところの方が大事です。
全く意識しないときこそ、感情や蓄えているセンスと技術で直感的に動けることで、神業的なプレイはできます。
四肢の動きやすさ
四肢の動きやすさは、末端の状態や体幹の状態の影響を大きく受けます。
例えば、手が力まないだけで腕や指は動きやすくなります。
脚も体幹から連なって、足の指まで全部の筋肉や関節が協調して動きます。
歌や演奏のテクニックで、筋肉は神経系でコントロールされる“しもべ”です。
パーツを鍛えると、体側から末端への連動や、皮膚や運動感覚による動きの連なりがおかしくなります。
効率よくスピードを出したり、反復しやすい、筋肉が素早く収縮弛緩しやすい動きでなくなります。
実は、体幹をほぐすだけで、四肢はとても軽く動きます。
また末端をほぐすだけでパーツはとても動きやすくなります。
《ドラム踏みやすくなるウォームアップ》
体幹のかたさは大敵
腰を据えて安定した姿勢でいると、体幹から手足は動きやすいです。
鍛えられた体幹という意味ではなく、かたくない体幹で座りが安定して、ほぐれて肩が動きやすく動きが連なりやすいです。
しかし、立つ、座る姿勢は意識すらしない反射的なものなので、意識して変えづらいです。
人は 20を過ぎれば、コラーゲン等の減少や自らの重みでかたくなっていきます。
だから肩や腰にきますが、人はかたさや動きにくさを自覚しません。
かたさ、腰痛、肩こりのない体はプレイヤーに必須です。
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |