楽器を使う感覚は手よりも広い
ニホンザルの実験で、感覚処理できる空間範囲が、手までではなく熊手が届く範囲まで拡がっていたそうです。
一流のテニス、野球の選手は、ラケット、バットが手のように感じられると言います。
脳で感覚処理できる空間範囲が、弓やスティックの先まで拡がっているかも。
手の動きのコントロール
手を使う時、手が当たる皮膚感覚や触覚、腕などが動いていく体性感覚など、感覚を元に動きをコントロールします。
感覚とは、体の表面や手足の動き具合など内部のものだと思っていました。
でも、脳の中では体の外の道具の空間まで認識しているそうです。
脳の中の感覚受容野
神経生理学者の入來篤史さんの報告です。
ニホンザルに餌を熊手を使って取る訓練をさせ、視覚、触覚ニューロンの活動を調べました。
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結果は驚くべきもので、視覚、触覚ニューロンの視覚受容野は指先など手が届く範囲に留まらず、熊手の先端部分にまで拡大していた。
刺激に対し感覚処理できる空間範囲が、一般的には手足が届く範囲に当たると考えられている。
ニホンザルの実験ではその空間範囲が熊手を持っていないときには、その神経細胞は手だけを認識するように活動する。
熊手を使うようになったら、熊手が届く範囲まで認識した。
大脳の頭頂連合野という領域の神経細胞の活動様式が、道具の使用訓練の前後で変化したのだ。
「普通のサルにとって熊手はただの異物ですから、その神経細胞は活動しません。
しかし、訓練によって熊手を道具として使えるようになると、熊手があたかも自分の身体の一部になったかのように、その神経細胞が活動するようになるのです」
http://www.brain.riken.jp/jp/asset/img/about/timeline/pdf/078.pdf
楽器を弾く感覚
当たり前ですが、楽器の使い方は脳が覚えます。
楽器を弾けるようになると、手の触覚や腕の体性感覚だけでなく、楽器を含めて感覚する神経細胞が脳にできるということでしょう。
楽器を弾く時、感覚が大事ですね。
一流のテニス、野球の選手は、調子がいい時、ラケットやバットが手のように感じられるそうです。
道具というと、ピックや弓、スティックと思いますが楽器自体道具です。
楽器も体の一部と言えるのかもしれませんね。
さらに 「人間の音楽家や数学者などの熟達者群では、その技術を担う大脳皮質部位が素人群よりも若干厚いことが知られていました。」
「道具の使用と言語は並行して進化したと考えています。
象徴概念の操作、複雑な運動の制御など、道具と言語を操ることにはいろいろな共通要素があります。」
音楽は表現する手段。
言葉を超えて人に伝えることができると感じられたり、言葉よりも音楽が先にあったのかもしれないというのは本当なのかもしれません。
参照)
理研脳科学総合研究センター
http://www.riken.jp/pr/press/2009/20091006/
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《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》 誰もが健やかに自分らしく奏で、音楽を通して明るい未来を目指します。 医療系の大学卒業後長年医療に従事したのち、音楽家に体の指導やケアを行っています。 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 詳しくは ≫プロフィール |