あがりが克服できない【ステージフライト】ー凍りつきとは

本番で手が動かせなくなる.…

歌えるはずなのに、本番でまたあの音程で声が出なくなる…

怖くてまた失敗してしまいそう…

 

何回もステージに立つのに、あがりが克服できないのはなぜ?

こんにちは。

ステージに上がる音楽家のためのパーソナルトレーナー、新堂浩子です。

今回は、ステージフライトを症状と起こる仕組みからみてみましょう。

 

ステージフライト、ステージ恐怖症は、「Music Performance Anxiety」MPA、音楽演奏不安症とも呼ばれます。

一般の人でも、人と話すことや人前に出ることが怖くてできないことを、社会不安症、不安障害と言います。

多くの人や特定の人と話せない、赤面、パニック障害など身体的症状が出ます。

 

私たちは思考、体において、自分では意識しないものに大きく支配されます。

 

ステージフライトの症状

不安が強いあまりに、体や思考のコントロールができなくなり、感情や思考、動き、身体に変化が表れます。

(「ジストニア、ステージ恐怖症ー脳の傷み」に書いたのと同じです。)

 

・不安感 最中にずっと不安。

正確に自分が何について不安を感じているのがわかる、または不安がどこから来るか全く説明できない。

 

・反復する恐れ(予期不安)

「またソロでミスをするんじゃないか」「また頭が真っ白になって暗譜が飛ぶんじゃないか」

以前起きた出来事が起きそうで怖い。

 

・解離

長年身につけてきた演奏の動きが、突然できない。

体や手、思考が分離、麻痺する感覚。

反復する身体的な障害に顕著な症状。

 

・混乱状態

リハーサルしようとか集中しようとしても、頭を働かせるようにできない。

不安感や解離からつながったもの。

 

・身体感覚の過剰意識

1本の指など部分的感覚の過剰意識。

一ヶ所に意識が大きく、緊張があって自然な動きができない。

 

・自分に対するネガティブ思考と自己卑下

過剰にネガティブな思考とセルフトーク。

継続することで考えが歪み、歪んだ考えで自分を苦しめる。

「自分なんてクズ、落ちこぼれだ」と浴びせる。

 

・体がかたまる 筋肉の緊張。

一箇所にある場合もあれば、体に感じられることも。

ウォーミングアップしても体をほぐせない。

 

・回避

動揺した体験と同じことや思い出させることを避けようとする。

強い不安のせい。

無意識のうちに病気、具合が悪くなるなど、参加できなくなる。

 

以上の全てではなく、一つか複数の症状が出ます。

凍りつき

あがりー逃走・闘争反応

体は自律神経によって循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能などを、無意識にコントロールしています。

人を含め動物は、非常時には自律神経のうちの交感神経系が亢進して「闘うか逃げる」という反応をします。

 

血管が収縮し、心拍数が増加し、血圧が上昇、骨格筋への血液供給量が増加。

気管径の増加をもたらして、一回換気量の増加を向上させます。

動物ならダッシュで追いかけたり闘ったり、人も「火事場のばか力」的なパワフルなことが可能になります。

凍りつき

人を含めて動物は、闘うか逃げるかできなければ、フリーズする、かたまって動けなくなります。

交感神経系亢進以上の危険レベルで、凍りつきます

 

動物が命レベルの恐怖がある場合、捕らわれて食べれれそうな時は、動かず仮死状態のようになります。

死んだように見えて食べられなくて済むか、万が一食べられても痛まなくて済むような本能的な反応です。

 

命の脅威の敵が去ってしまうと動物なら、元に戻って生活できます。

動物と違って人間の場合、脅威的な体験を脳に閉じ込めてしまいます。

音楽家に蓄積する心理的負担

心の負担

ステージに立つことに不安が大きい、恐怖がある。

人前で歌や演奏すること、観客に見られることを、危険な状況にいる「脅威」としてしまいます。

恐怖状況にいるせいで、歌や演奏の動きが困難になったり、思考、感情が混乱します。

 

音楽家の多くは、ステージでの失敗や恥、人の評価、身内の不理解や対立、ミスや不合格という大きな心理的負担を重ねます。

積み重なった心理的負担や閉じ込めた過去の記憶によって、恐怖があります。

過去の出来事やトラウマそのものが原因でステージ・フライトが起こるのではなく、多くは精神的な負担が積み重なって起こされます

体の傷み

体のケガや故障は、心理的な傷も負います。

弾けない、指が動かないなど音楽家がダメージを受けるような損傷の場合、身体的な傷と心理的な傷が同時に起こります。

 

予期せず理解できない形で症状が表れたり、直接的にも間接的にもパフォーマンスに影響します。

アスリートであればイップスに、演奏家であれば局所性ジストニアになり得ます。

指が伸びたり丸まったりする手のジストニアではなく、ドラムで脚をうごかせなかったり、管楽器でアンブシュアができなくなったりします。

トラウマチックな出来事

人にとって危険なのは、本人にとって感情的に重要な出来事や危険な痛みです。

家庭での出来事など思春期までの辛い出来事は、たいしたことないように思えることでも、大きな傷になります。

 

幼い頃の事故や怪我、病院で親と引き離される、身内の不幸など、身体的だったり精神的だったりトラウマ的な過去の出来事を脳に閉じ込め、自分でも覚えていないこともあります。

特に幼少時に起きた事の影響は見逃されがちです。

いずれにしても、脳の奥に閉じ込めているので、トラウマの存在自体がわからず、対話療法で考えても思い出せません。

 

症状は出来事のすぐ後から表れることもありますが、時間が経ってから出てくることの方が多く、時には何か月も何年も経ってから現れてくることもあります。

起因した出来事との関係性に気づかれずに、トラウマ症状だとは見なされないことがよくあります。

 

実は私自身そうでした。

高校生の時、親に言われたことが全く思い出せず記憶に残っていませんでした。

 

次回はステージフライトを神経学的に見ていきます。

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『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』

 

《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上していけるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ

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