才能あるゆえに自分を肯定できない「インポスター症候群」
こんにちは。
ステージに上がる音楽家のためのパーソナルトレーナー新堂浩子です。
人に認められたり人気があることで、逆に自分の実力を信じられなくなったり、自己肯定感がもてなくなったりすることがあります。
インポスターシンドローム。
インポスターは嘘つき、詐欺師という意味で、インポスター感情、インポスター体験とも呼ばれます。
活躍している音楽家の方でも、自分の実力や人気を素直に受け止められず、自己否定感に苛まれたりして大変苦しくなります。
見出し
インポスターシンドローム
認められると自己肯定できなくなる
誰もが羨むような成功をおさめたり、世間から高く評価され第三者から見て十分な能力を持っている。
それなのに、自分自身を信じられない。
自分の能力や功績を自分で肯定できない。
優秀な人や社会的に成功した人が多く経験する心理で、1978年に心理学者クランスとアイムスによりインポスターシンドロームと命名されました。
ミッシェル・オバマ前大統領夫人、俳優のトム・ハンクスやエマ・ワトソンも自分がそうだったと告白しており、日本人の有名人でもいらっしゃいます。
多くの人に認められると、人は本当の自分の姿を見ていないと考えてしまいます。
自分の実力や業績を信じられず、自分には高い能力はなくて、人を欺いているように感じてしまいます。
実力を認められたり人気が出たりすると、それを示す作品や音源がたくさんあっても、自分は称賛に値しない、という考えを消し去ることができません。
人によって異なる
人口の70%が人生で少なくとも一度はこの感情を経験するという報告があります。
また、社会的に成功した人の5人に2人が自分をニセモノであると感じていたという研究もあります。
最近の研究によると、インポスター症候群は特定の状況に対する反応であるともいわれています。
シンドローム、症候群と名前がついていますが、精神疾患の診断マニュアル『DSM』には入っていません。
インポスター症候群がどのように表れるかは、個人で異なります。
この症候群にあるのに自覚がない場合、不安やストレス、抑うつ、恥などに苦しみ、嘘をついている感じ、信頼関係を築くことの困難さ、疑いなどに苦しみます。
極端な失敗や間違い、他人からの否定的意見を恐れる傾向があり、それが発覚するのを避け、新しい経験や探求に飛び込む勇気を制限してしまうことがあります。
一方、インポスター体験は、キャリアの道においては健康な反応であり、有益であると考える研究者もいます。
これは、「誰もがコンフォートゾーンを持つが、成長とはそこから一歩踏み出した時に起こる」という考えから派生しています。
若い人のケース
Wikiからの抜粋です。
2013年にテキサス大学で行われた実験によると、文化的マイノリティの学生(留学生など)は、大学生活で自分が偽物であるという感情を抱きやすいことを示した。
こうした学生は、「しばしば最もエネルギッシュで、賢く勤勉な学生である」ため、彼らの抱えるインポスター感情が表面化しにくいことも状況を悪化させる一因となっている。
自覚がない場合、彼らは不安やストレス、抑うつに苦しむことになる恐れもある。
例;留学生だった日本人の手記「インポスター症候群だった1年 支えになった4つの助言」
音楽家でも、変わったキャリアや新しい分野の方が人気が出てしまうと、自分の人気や実力を否定的に考えてしまうことがあります。
日本語字幕あり。設定→日本語
「あなたには才能があり、能力があり、居場所もあるのです。」
あなただけではない
ここからは私の文になります。
恥ずかしいことではない
楽器の演奏は、本人にとってあたり前にできてしまうこと。
音楽以外では普通の人です。
それなのに、多くの人に認められたり想像もしなかったことが起こることで、自分には称賛に値する資格や能力がない、ふさわしくないと考えてしまいます。
自分のこれまでの作品や音源、その能力と努力を自分で認めましょう。
あなたの音楽、表現は、あなた以外にはできません。
こんな恥ずかしい感情は自分だけだと考えていますが、他にも同じ体験をする人は少なくありません。
こういう状態になりやすいことを知っていたり、経験者と話したりすることで苦痛をやわらげることができます。
誰でもつらい気持ちを抱えることがある、それが恥ずかしいことではない、ということを理解しましょう。
実際、他人が何を考えているか、心の中はわかりません。
前回書いたように、いつも楽しそうな長嶋一茂さんが、パニック障害や鬱病に10年以上苦しんでいらっしゃったり、
イケメンで人気があってキャリアも申し分ないような俳優さんが自殺をされたり。
はたから見ると羨ましい活躍をしていても、悩んでいないわけではないです。
長嶋一茂さんも報道番組のコメンテーターで、教育や環境の問題についてもっともらしいことを言った後に、「そんなことを言える資格なんてない」と自分を責めていたと書いていました。(彼の場合は鬱です)
私自身、新宿を歩いているときに「私の自尊心はあのダンボールに囲まれて寝ている人たちよりも低い」と思ったことがあります。
^^;
自分を大切にする
ネガティブを受け入れる
多くの人は、ポジティブでいなくてはいけないという思い込み、前提があります。
そのせいで、ネガティブな考えはよくない、苦しみや孤独などの感情から逃れようとしてしまいます。
自分の考えや気持ちはよくないないものと捉えていると、余計苦しくなります。
どんな感情も自然なもので、良いも悪いもありません。
ネガティブな考えが湧いてきても、いけないもの、抑えようとするより認めます。
自分はふさわしくない、能力がない、自分なんて、自信がない、つらい、と思う気持ちを受け入れます。
自分の感情に正直でいます。
自分の考えを批判したり気持ちを抑えよう、抗おうとすると、逆に大きくなります。
実際にある考えや湧いてきた感情を素直に受け入れることで、通り過ぎていきます。
自分に対して批判や評価しないことです。
考えてしまうことやネガティブな感情を、判断をせず許します。
自己否定的な考えやネガティブな気持ちを受け入れ、そのままでいる。
放っておくことで感情は小さくなっていきます。
自分の感情と闘うより受け入れます。
自分を大切に
自分に優しくしてください。
自分を批判しない。
自分を無条件に大切にしてください。
自分が嫌い、自責の念、過去の失敗や後悔、自信がない、つらい、孤独…自分の素直な気持ちを、抱きしめてください。
それが自分に正直でいて、自分を大切にするということです。
周りの目や先のことを怖がるより、自分が自分をどう思っているかの方が大事です。
苦しみを感じていても、自分を信頼していてください。
自分に正直でいて、ありのままの自分を受け入れてください。
全てが自分を知る学びになり、成長へとつながります。
まとめ
- 認められると自己否定になるインポスター症候群は多くの人が経験する
- 人によって出方、症状に違いがある
-
自分の作品や音源、能力と努力を自分で認める
- ネガティブも素直に受け入れ、自分を大切にする
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |