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わかりやすい呼吸の解剖
呼吸は、肺に空気が出入りします。
肺の周り、肋骨・背骨・底にある横隔膜で囲まれる胸郭の大きさが変わって、空気が出入りします。
息を吸うときは、横隔膜が下がって平らになり、胸郭が前上方にふくらみます(左Inspiration)。
吐くときは、横隔膜が胸郭内に上がり肋骨も下がり、胸郭が小さくなって空気が出ます(右Expretion)。
歌、吹奏楽で呼吸しやすい姿勢
呼吸しやすい立ち方、座り方
靴や立ち方で、息しやすさは変わります。
両足をほぼ腰幅に開いて、かかとから人差し指を結ぶラインを左右平行にします。
足が外向きで立つのと比べて、足、背中の張り、緊張がなくなります。
(両手を上げて”ばんざい”をすると背中の張りが減るのを確かめられます。筋肉が多い人は差がはっきりします。)
足が外向きで立つと、体幹がかたく呼吸に不利です。
背中が張らないので、体幹が膨らみやすく、バランスがよくリラックスしています。
《呼吸しやすい姿勢、立ち方、座り方》
呼吸しにくい状況
■ 猫背、腕で脇を絞める
■ 顎を突き出す
■ 肩こり
■ 背中がかたい→腰痛を起こしやすい
■ X脚やO脚→力む、反り腰、猫背になりやすい
■ 食べ過ぎ、飲み過ぎ
■ 手が力む→顔、口まで力が入る
マイクはグーに握らず、指先で持つか人差し指を伸ばす
歌や吹奏楽で呼吸しやすくなる
歌や吹奏楽での腹式呼吸とは
手の平にハーッと息を吹きかけるように吐くと、お腹周りが絞まる感覚があります。
歌や管楽器での腹式呼吸は、このように吐くときにお腹周りが収縮して、長く息が出せることを差します。
お腹の表面が動きやすく、力で吸わなくても表面がゆるんで息が入りやすいです。
吐くときに、腹腔内のインナーマッスルが収縮して腹腔内圧が上がり横隔膜を押し上げ、肺から空気を出ます。
息を吐いた後、横隔膜が下がり、気管を通って空気が入ります。
口、顔もゆるみます。吹奏楽では一旦唇を離します。
一般的に言う腹式呼吸は、寝ている時に吸うとお腹が膨らみ、吐いてお腹が凹む呼吸を差します。
歌や管楽器では、吐くときにお腹が締まる、へこむことで、吸うときに無理にに膨らませることではありません。
《ボーカル、管楽器での腹式呼吸、ロングトーン》
腹式呼吸の筋肉学
アウターマッスルとは
体幹の浅いところにある筋や、腕や足、大胸筋など体を動かす筋肉で、表層筋、グローバル筋とも言います。
腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊柱起立筋など。
インナーマッスルとは
大きな力を入れるときは、息で腹腔内圧を上げて脊椎(背骨)や体幹を支えます。
体幹の深いところにある深層筋、コアマッスルとも呼ばれます。
腕を動かすだけでも体の重心は変わるので、常に腹横筋が体を背骨の方に寄せるように働いて、常に自分を支えています。
インナーマッスルは自分ではわからないので意識できません。
横隔膜が、しゃっくりした時わかるくらいで自分で動かせません。
- 腹横筋;お腹の一番内側、腹直筋や腹斜筋より内にあります
- 横隔膜;腹と胸の境、呼吸で動きます
- 骨盤底筋;股間で、尿道や直腸が通ります
- 多裂筋;背骨同士に付く筋肉
- 大腰筋、腸骨筋;腰椎、骨盤と大腿骨を結ぶ深層筋
腹横筋↓腹巻みたいな感じです
横隔膜、大腰筋、腸骨筋、骨盤底筋↓
自分を支える筋肉が弱いと、猫背やだらけた姿勢を楽に感じてしまいます。
骨盤底筋がゆるいと女性だとくしゃみ時に尿漏れしたり、男性でもバッティングで尿漏れします。
外の力が強くて内の力が弱いと言うことですね。
筋肉なので使っていないと弱く、使うことで働きやすくなります。
《歌や管楽器で腰痛の人が知っておきたいインナーマッスル》
歌や管楽器でのストレッチ、トレーニング
□ 首、肩のストレッチー首を大きな角度で折らず、ゆっくり伸ばしてかたさをとりましょう。
□ 胸、背中ー動きにくい肋骨を側屈などでゆっくりストレッチ、肋骨や背骨同士の間を開きます。
大きな角度や回数やるよりも、ゆっくり気持ちいいレベルでストレッチを。
□ 腹筋、背筋の一般的な筋トレは、腹壁や背中をかたくするのでおすすめしません。
歌や管楽器での腰痛
体幹を保って表層の筋肉の柔軟さが適切にないと、腰を痛めやすいです。
《歌、吹奏楽での上半身のウォーミングアップ 》
歌いやすくなるコツ&ケア
管楽器で運指しにくい手
指が自然に丸まらず、指が伸びて手がパッと開いたり指関節がへこんだりします。
・手首がひどく折れている
・親指側を伸ばしている→他の指がバタつく
・親指に力が入っている
・力んで息を出すことで手にも力が入る
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |