ピアノ本番の成功、体のリラックス、メンタル、脳
ある週末、ピアニストの方からメールが届きました。
ピアニスト、以下P)
明日から舞台の本番ですが、超難曲で高速の曲を弾かねばならず、だんだん力が入り弾けなくなってきました。
これまではまだ何とか弾けていたのに。
本番でどのような脳の使い方をするのがベストなのでしょうか。
できないことが沢山あっても後悔したくないです。
進藤)
今、力が入って弾けなくなったので、ピアノから離れてお昼ご飯でも食べてください。
お好きなお飲み物はありませんか?
日本茶とか紅茶とか、温かいお茶を淹れて、カップで手を温めながら香ってリラックスしてみてください。
P)
曲が難しすぎて、手が固まると全く弾けなくなり、そればかり気になり追い詰めてしまいます。。
ひとまずあたたかいお茶を飲んでみます。
進藤)
超難曲で高速かもしれませんが、小さな音がたくさんある軽快なメロディとも言えます。
今、ゆっくりしましょう。
あとで、弾かずに頭の中で音を出して、いい音をイメージしましょう。
譜を見ながらでもいいです。
P)
軽快なメロディと思えば良いですね!
ありがとうございます。
肩の近くの力が抜けなくなってしまったんですが、何か良い方法はありますか?
進藤)
肩の力抜くには、仰向けに寝て、背中に座布団かバスタオルを折ってウエストから肩くらいまで敷きます。
両手を斜め下くらい軽く開いて、ゆ~っくり呼吸して、筋肉と心を弛めます。
背中を少し上げて、首と肩の筋肉を弛めましょう。
その日最後に、脳の使い方を書きました。
(別に怪しい方法じゃないです。)
P)
うまくいかなかった記憶が頭にこびりつくのですが、~~~ですね!
そして1週間後、メールをいただきました。
P)
おかげさまで、本番は奇跡の演奏ができ、周りにもお客さまにも良い感想をいただけることができ、ホッとしています。
あまりに疲れが取れず、ご連絡が遅くなりすみません。
体、メンタル、思考は影響しあいます。
最初のメールで、「弾けていたのに、練習を詰めていたら力が入り弾けなくなってきました。」とありました。
手の身体的な現象によって、(ご自分でも書いてらっしゃいましたが)心理的にパニックになります。
そして、弾ける実力がありながら「明日弾けない…」と言う弱気なメンタルになります。
ネガティブな思考は、ポジティブな思考より何倍も強烈です。
身体的に、まずピアノから離れる、体をリラックスさせます。
自分の好きなお茶を淹れて慣れた香りで呼吸していただきました。
特別な方法じゃなくても、本人が慣れているものものがいいです。
手のひらを温めると落ち着きます。
好きな人や親子で手を繋ぐと、ホッとしますよね。
カップで手を温めると人に優しくなったという研究もあります。
体のかたさ、緊張をとって筋肉を緩めたりゆっくり息することは、心を弛めます。
そして、肩がかたく動きにくいと、腕が動きにくいので手を使いにくくなります。
肩の力を抜くことで手のかたさがなくなります。
また、手に力が入っていると腕から肩まで力みます。
これは重いものを持つときのようになるからです。
だから肩と手、両方緩めることが必要です。
考え方も手や心に影響します。
「超難曲で高速」「明日弾けない」と言う思考を書き換えて消します。
脳の使い方、うまくいったようです。
ご本人の記憶を利用しますが、演奏前のイメージトレーニングにしても実力も、
本人が持っている内面にあるものを引っ張り出すだけです。
ステージ上で実力、それ以上の力が出せるのが、プロの音楽家のすごいところだと思います。
《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》 ミュージシャン・音楽家の方を対象に、痛みを手放し音を出しやすい体づくりと、 音楽家としてステージをアップさせていくパーソナルトレーナーをしています。 長年医療に従事したのち、音楽家専門のパーソナルトレーナーに。 バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。 趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ♪ 詳しくは ≫プロフィール |